料理撮影の現場に、新たな相棒を連れていきました。それが「COLBOR CL100X」。
ネットでの評判も上々、スペックも申し分なし。何より、そのコンパクトなボディに110W級の出力を詰め込んだ設計に惹かれました。
「これが本当に800g?」と疑うほどの軽さと、手に取ったときのしっかりとした金属の質感。現場でもサッと持ち込めて、あっという間に設置完了。これは、なかなかの即戦力になりそう——そう思ったのも束の間、実際に撮影を始めてみると、「なるほど、ここが限界か」「こうやって使えば活かせるかも」といった気づきがいくつもありました。
この記事では、料理写真という繊細なライティングを求められる現場で、COLBOR CL100Xがどう立ち回ったのかを軸に、その実力とクセ、そして購入を検討している人にとって役立つポイントを、正直にレビューしていきます。
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小型・軽量・金属ボディの魅力
手に取った瞬間、「え、これが本当に100W超?」と驚かされるのが、COLBOR CL100Xの第一印象です。サイズは約152×80×90mm、重量約800g。ちょっと大きめの単焦点レンズくらいのサイズ感で、片手でひょいと持ち運べる軽快さ。それでいて、ボディ全体はひんやりとした金属——おそらくアルミ合金——で覆われており、軽いのに安っぽさがまったくない。むしろ高級感すら感じます。

めっちゃ金属なのに軽い

1%単位で明るさを変更できます

技適があります。アプリで操作可能なの。
このコンパクトな筐体の中に、しっかりと排熱機構まで詰め込んでいるのも特筆すべき点。「Hummingbird-Intelligence Cooling System」と名付けられた冷却機構は、実際の撮影中も安定して動作し、熱がこもるような気配は皆無でした。小型LED機材によくある「触るとアチッとくる」あの感じがないんです。
さらに驚いたのはファン音の静かさ。Quietモードに設定すれば、背後で小鳥が羽ばたくくらいの音しかしません。実際、ASMRや料理ナレーションなど、繊細な音を拾う撮影現場でも全く気にならないレベルでした。この静音性は、モノローグ収録や室内インタビューなど、音環境にこだわりたいシーンでも安心して使える大きな武器になるはずです。
電源周りも好印象。ケーブル長がありがたい

うーんでかいー 邪魔ではあります。が 熱を考えるとこの方が良い。
意外と見落としがちですが、電源まわりの設計が秀逸だったのもCL100Xの魅力のひとつ。特に感心したのが、電源ケーブルの絶妙な長さです。むしろ邪魔とすら思えます。
多くのコンパクト系LEDライトは、ACアダプターと本体の間のケーブルが短かったり、アダプター自体が重たくて中間でぶら下がってしまったりと、「スタンドに固定したときにケーブルが宙ぶらりんになる」問題に悩まされがちです。しかしCL100Xは、アダプターと本体、コンセントまでのケーブルがしっかり長めに取られており、スタンドの高い位置に設置しても取り回しにストレスがありません。
ロケや配線の自由度が問われる現場では、こうした“地味に効く”設計が信頼につながります。

これはマジでありがたい 肩下げベルトもあります。
さらに嬉しいのが、付属のキャリーバッグの完成度。クッション性のあるしっかりとした作りで、CL100X本体はもちろん、Bowensリフレクター、アダプター、ケーブル類まで一通りすっきり収まります。ファスナーの開け閉めもスムーズで、移動中も安心して機材を預けられる感覚。
この価格帯のライトで、ここまで配慮された収納ケースがついてくるのは正直驚きです。「買ってすぐに持ち出せる」安心感は、想像以上に大きな価値だと感じました。
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リフレクターは小さめ。光の扱い方に工夫が必要

ちょっと小さい。
CL100Xには、標準でBowensマウントアダプターが付属しており、ソフトボックスやリフレクター、グリッドなどの一般的なライティングアクセサリがそのまま使用できます。これはライト選びの際に非常に大きなポイントで、「自分の光」を追求したい撮影者にはありがたい仕様です。
ただし、付属のリフレクターはやや小ぶりで、使ってみるとその影響が如実に現れました。まず、中心部分に強い光が集まる「ホットスポット」ができやすく、周辺との明暗差が目立ちます。そのため、そのまま被写体に当てると、影が硬く出すぎてしまう傾向があります。

リフレクターなし、直で当てるとこうなります。
リフレクターなし、直で当てるとこうなります。影が固めです。ホットスポットはあります。

若干柔らかくなる
リフレクターを取り付けると、影がすこしフェードします。でもホットスポットは残っている。
特に僕が行っているような料理の撮影では、この直射光では質感が飛んでしまうこともありました。皿や具材の立体感を自然に見せたい場面では、光が強すぎて質感表現が破綻しかけることも。この点は、あらかじめ「ディフューザーやソフトボックスを組み合わせて使う前提で考えるべき」という印象です。というか先にわかっていたのでそのようにしました。
一方で、壁や天井にバウンスさせた間接光の扱いには非常に優れており、広く柔らかい光を作り出したいときにはCL100Xの光質が活きてきます。リフレクターを外してバウンス用途に回すことで、ナチュラルで包み込むような照明が可能に。室内撮影ではこのバウンス力を活用するだけでも、十分プロフェッショナルな光が得られるはずです。
アンブレラ非対応という小さな壁。求められるDIY精神
唯一と言っていいほど惜しい点があるとすれば、それはアンブレラを直接取り付けるための穴がないこと。Bowensマウント自体は柔軟性が高く、ソフトボックスやビューティーディッシュの運用には何ら不満がないのですが、「アンブレラを使いたい」となった瞬間、少しだけ工夫が必要になります。
たとえば、手持ちの透過型アンブレラや反射型アンブレラをそのまま使うには、別途ブラケットやアンブレラホルダーを組み合わせる必要があります。これが意外と盲点で、他のBowens対応ライトと同じ感覚で構えると「あれ?」となるかもしれません。
とはいえ、これはDIY精神が試されるポイントとも言えます。ライトスタンドに装着する汎用アンブレラホルダーの併用や、NATOレールに自作ブラケットを追加する工夫など、拡張性を活かせば問題自体はクリア可能です。
小型であるがゆえの割り切りですが、今後のバージョンで改善されるとさらに完成度が上がるライトだと感じました。
COLBOR 撮影用ライト用アクセサリー 傘ホルダー 三脚傘クリップ COLBOR UMBR 写真/撮影用 アンブレラを固定 COLBOR CL60/CL60R/CL100Xビデオ用
公式でこのような製品が出ていますが、僕の使っているアンブレラはちょっと狭そうなので見送ってます。
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PowerCube構造とNatoレールの拡張性:小型ライトの常識を超える設計

重ねているのではなく、溝にスライドさせてしっかりしている

縦と横が互い互いになります
COLBOR CL100X最大の魅力のひとつが、この“PowerCube構造”。本体上下にはNATOレールが標準搭載されており、同型機を最大10台まで物理的に連結して使える設計になっています。※それを支えられるライトスタンドはあるのか問題
「小型ライト=単体使用が前提」というこれまでの常識を覆す設計で、ライト1台が“ユニット”として機能するモジュール型照明という考え方は非常にユニーク。マルチライトのセッティングを考えるユーザーにとっては、機材整理のしやすさも魅力です。
照明全体の出力も最大1100W相当まで対応可能(あくまで理論上)。映画やMV撮影、プロの大型ライティングシステムにも耐えうるポテンシャルを秘めています。
さらにCOLBOR Studioアプリ(iOS/Android)を使えば、物理接続をせずともBluetooth経由でグループ制御が可能。色温度・出力・シーン効果の一括管理も、モバイルから直感的に操作できます。ただ、エフェクト等を僕は使わないのでアプリを使わないかなと思いました。
明るさと色再現性の実力
CL100Xは2700K〜6500Kのバイカラー対応。シーンや被写体に応じた色温度調整が可能で、**最大25,000lux(6500K時/距離1m)**という数値は、屋内撮影であれば過剰なくらいのパワーです。
CRI(演色評価数)97+、TLCI98+というスペックも公称値ではありますが、海外のYouTuberやレビューサイトの検証では、この数値に大きな誤差はなく、色の安定性・再現性は確かとのこと。肌や食材の色味に気を遣う現場でも、安心して使える性能です。

カメラの設定そのままで 1%の明かり。ドチャクソ明るい。
ただし、直射光ではその明るさが裏目に出ることも。実際の料理撮影でも、リフレクター+直光だと素材表面が“のっぺり”と映り、テクスチャや立体感が失われやすい印象がありました。
このライトの力を最大限に引き出すには、ディフューザーやソフトボックスを通す前提で設計することが重要。拡散することで、立体感や食材の瑞々しさが引き立ち、まさに「使えるライト」に化けるという感触がありました。
まとめ:扱いやすさと性能を両立した、信頼の“現場ライト”

ええこだと思います。
COLBOR CL100Xは、「コンパクト=妥協」という既成概念を覆すようなライトでした。800gという軽さに加え、金属ボディによる剛性感、そしてしっかりした冷却設計。スタジオでもロケでも活躍できるだけの耐久性と取り回しの良さを兼ね備えています。
確かに、リフレクターによる直光では限界もある。しかし、それは「光源を理解して扱う」ための余白とも言えます。拡散・反射・間接光──そうした工夫を前提に設計されたCL100Xは、ユーザーの工夫次第で“仕上がり”が大きく変わる、まさに撮影者と対話するような機材です。
PowerCube構造による複数台運用、Bluetoothアプリによる調光、そして高い色再現性。これらの機能をこの価格帯に収めていること自体、かなり野心的な設計だと感じました。
「もう少し本格的なライトが欲しいけど、大げさなセットは避けたい」
「小さくても妥協せず、ちゃんとした撮影がしたい」
──そんな現場の声に、きちんと応えてくれる一台。それが、COLBOR CL100Xです。
ちなみにドチャクソ明るい更に上のやつもあります。