皆さん、こんにちは。喫茶店の部屋の管理人@kissatenです。
僕は今、猛烈に反省しています。
5歳のマイボーイに『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』を見せるにあたり、僕は「効率的な視聴リスト」などという、小賢しいものを作ろうとしていました。
「アイアンマンとスパイダーマンの関係さえ分かればいいか」
「昔のシリーズは、まあ雰囲気で伝わるだろう」
……馬鹿野郎、と自分を殴りたい。
『ノー・ウェイ・ホーム(NWH)』とは何なのか。
それは、2002年から続く「スパイダーマン映画の歴史」と、2008年から続く「MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の歴史」。
この2つの巨大な大河が合流し、全ての感情が決壊する、映画史上稀に見る特異点です。
サム・ライミ版の「責任」。
アメイジング版の「喪失」。
MCU版の「継承」。
そしてアベンジャーズの「結束と別れ」。
どれか一つでも欠ければ、あのラストシーンの涙は「1000%」には届きません。
だから、僕は決めました。マイボーイに、全てを見せると。
これは、父として、一人の映画ファンとして、彼に捧げる「全履修リスト」とその「理由」の全てです。
※かなり端折って説明しています。正しく説明すると、それはもう文字数が大変になるので勘弁してください。
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そもそも、スパイダーマンって何?
リストに入る前に、少しだけ基本のおさらいです。 マイボーイから必ず聞かれるであろう「なんでスパイダーマンの顔が違うの?」という疑問への答えでもあります。
スパイダーマン(ピーター・パーカー)とは、一言で言えば「クモに噛まれてスーパーパワーを手に入れた、万年金欠の理系オタク少年」です。
彼はスーパーマンのように生まれつき特別でもなければ、バットマンのようにお金持ちでもありません。 家賃に悩み、恋に悩み、学校の成績に悩む。 私たちと同じ「普通の生活」を守りながら、マスクを被って人助けをする「親愛なる隣人」。それがスパイダーマンです。
そして、これから紹介する映画リストには、3人の違う顔をしたスパイダーマンが登場します。
- トビー・マグワイア(ちょっと地味で、哀愁漂う元祖)
- アンドリュー・ガーフィールド(背が高くてイケメン、今風の若者)
- トム・ホランド(アベンジャーズに入った、末っ子気質の高校生)
大人の事情(映画の権利関係)で、時代ごとにリセットされて作り直されてきた歴史があるのですが、『ノー・ウェイ・ホーム』は、この「バラバラだった3つの世界」が奇跡的に繋がる映画なのです。
だからこそ、僕たちは過去の2人(トビーとアンドリュー)のことも知っておかなければなりません。 彼らがどんな人生を歩んできたかを知ることで、最新作の感動が何倍にも膨れ上がるからです。
さあ、歴史の教科書を開くような気持ちで、最初のページをめくりましょう。
第1部:別次元の「彼ら」の痛みを知る(旧作シリーズ)
NWHの感動の半分は、ここに詰まっています。彼らがどれほどの孤独を抱えて生きてきたか。それを知らずに、彼らの救済を祝うことはできません。
1. スパイダーマン(2002)
全ての原点。ベンおじさんの死と「大いなる力には、大いなる責任が伴う」という言葉。そしてグリーン・ゴブリンの狂気。彼がただの悪人ではなく、精神を病んだ哀れな男であることを知ってください。
【ここもチェック】 このスパイダーマンだけ、ウェブ(糸)を発射する装置を作っていません。なんと「手首から直接、体液として糸が出る」という設定です。 これ、NWHで他のスパイダーマンたちから「えっ、体から出るの!? 気持ち悪!」と驚かれる鉄板ネタになっています。
2. スパイダーマン2
最高傑作。ドクター・オクトパスの悲劇。アームに支配され、善人の心を失っていく彼を、ピーターはどう見つめていたか。この映画の結末を知っていると、NWHでの再会シーンで涙腺が崩壊します。
【ここもチェック】 能力不調でビルから落下し、「あいたた……腰が……」と呻くシーンがあります。 NWHで彼が「最近、腰が痛くてね」とこぼし、アンドリュー版ピーターに背骨を治療してもらうシーンは、この時の古傷(?)が元ネタです。おじさんになった哀愁を感じてください。
3. スパイダーマン3
サンドマンという「娘を想う父」としてのヴィラン。許しと和解のテーマは、NWHの根幹に関わります。
4. アメイジング・スパイダーマン
リザードとの戦い。アンドリュー・ガーフィールド版のピーターは、少し生意気で、でも誰よりも寂しがり屋です。
【重要ポイント】 劇中のラスト、ヒロインの父親(警部)と「娘を危険に巻き込まないために、彼女には近づくな」という約束を交わします。 彼は2作目でその約束を破ってしまい、結果として彼女を死なせてしまう。この「約束破り」の罪悪感が、NWHで彼が言う「自分を許せない」という言葉の根源です。
5. アメイジング・スパイダーマン2
【絶対必修】時計塔のシーン。落下する恋人グウェン・ステイシー。彼女を救えなかったあの日から、このピーターの時間は止まっています。NWHで彼がある人物を救った時の、あの「泣き笑い」のような表情。あれを見るためだけに、この映画を見る価値があります。
あのシーンを知っているか知ってないかでかなり映画で得れる栄養素が変わります。
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第2部:偉大なる父、トニー・スタークの時代(MCUフェーズ1)
ここからはMCU。トム・ホランド版ピーターの人格形成に不可欠な「父」トニー・スタークと、彼を取り巻く英雄たちの物語です。
6. アイアンマン
トニー・スタークの誕生。「私がアイアンマンだ」。この傲慢さとカリスマ性が、ピーターの憧れそのものです。
7. インクレディブル・ハルク
力の制御に苦しむブルース・バナー。彼もまた、孤独な科学者です。
何故か影が薄いこの映画。ちなみにブルース・バナー役はファイトクラブのエドワード・ノートンが演じています。
8. アイアンマン2
父ハワードとの確執。トニーもまた、父の愛を求めていた息子でした。だからこそ、彼は後にピーターの父になろうとしたのです。
9. マイティ・ソー
神々の世界。ソーの追放と成長。ロキという、愛すべきひねくれ者の存在。世界は地球だけではないことを知ります。
10. キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー
正義の象徴。トニーとは対照的なスティーブ・ロジャース。彼の高潔さが、後のアベンジャーズの精神的支柱になります。
11. アベンジャーズ
彼らが初めて集結する奇跡。孤独だったヒーローたちが「仲間」を得た瞬間。
第3部:世界観の拡大と、父の苦悩(MCUフェーズ2)
12. アイアンマン3
「スーツがなくてもヒーローか?」という問い。これは後に『ホームカミング』でピーターに突きつけられる課題そのものです。
13. マイティ・ソー/ダーク・ワールド
リアリティ・ストーンの脅威。
インフィニティ・ストーン(インフィニティ・ジェム)はインフィニティ・ウォーとエンドゲームを語るうえで必ず履修必須です。
14. キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー
組織の崩壊。正義とは何か。キャプテンの信念が試されます。キャプテン・アメリカだけでも見てほしい。
15. ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー
宇宙のならず者たち。サノスの影が近づきます。
16. アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン
トニーの失敗。世界を守りたいという強すぎる想いが、ウルトロンという怪物を生む。この「過保護なまでの正義感」が、ピーターへの接し方に繋がっていきます。ワンダ(スカーレット・ウィッチ)の悲劇の始まりでもあります。
ドラマ版ワンダを語るうえでも絶対に見ておかないといけないやつ。
17. アントマン
家族愛と、量子世界。後の逆転の鍵。小さいキャラクターだが、MCUの世界においてとても大きなキーパーソンの話なので絶対に見ないといけない。
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第4部:父と子の絆、そして崩壊(MCUフェーズ3)
ここから、ピーター・パーカーの物語が本格的に始まります。
18. シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ
運命の出会い。トニーがピーターを見出し、スカウトする。しかし、アベンジャーズは分裂する。トニーとキャップの決裂は、ピーターに「大人の事情」の残酷さを教えました。
新人としてスパディが出てきたのには映画館で歓声が上がるほどでした。
19. ドクター・ストレンジ
NWHのキーマン、ストレンジ先生の登場。彼もまた天才ゆえの傲慢さを持つ男。魔術という概念を知るために必須です。
20. ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス
父と子、そして育ての親の物語。
インフィニティ・ウォーに関わるから見ておこうというものではなく、単独で面白いです。
21. スパイダーマン:ホームカミング
単独1作目。トニーに認められたい一心で空回りするピーター。「スーツを取り上げないで!」と懇願するシーンは、親子喧嘩そのもの。トニーの不器用な愛を感じてください。
【父子の距離感】 車の中でトニーがドアを開けようとした時、ピーターが勘違いして抱きつこうとし、トニーに「ハグじゃない、ドアを開けるだけだ」と拒否される気まずいシーンがあります。覚えておいてください。
22. マイティ・ソー バトルロイヤル
ソーの覚醒と、アスガルドの最期。
23. ブラックパンサー
ワカンダの技術と誇り。
24. アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー
絶望。サノスの指パッチン。トニーの腕の中で「死にたくない」と泣きながら消えていくピーター。このトラウマが、トニーを突き動かします。
25. アントマン&ワスプ
希望の光。
26. キャプテン・マーベル
最強の助っ人。
「お前がもうちょっと関心持ってたらもっと早く終わったのでは?」とは思ってます。
27. アベンジャーズ/エンドゲーム
伝説の最後。トニー・スタークの死。
彼が命を賭して守りたかったもの、それは宇宙であり、そしてピーター・パーカーでした。
父を失ったピーターの喪失感。ここを避けて通っては、次の物語へ進めません。
そして忘れてはいけないのが、ドクター・ストレンジの選択です。彼がたった一つの勝利のために、トニーの犠牲を黙認したこと。この事実が、彼とピーターの間に微妙な影を落とします。
【父子の距離感・完結】 生還したピーターを見つけたトニー。今度はトニーの方から、何も言わずにピーターを強く抱きしめます。 『ホームカミング』での拒否から、ここでの抱擁へ。言葉はいりません。ここが二人の関係のゴールです。
第5部:父亡き後の世界、そしてマルチバース(フェーズ4)
28. スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム
トニーのいない世界で、後継者としての重圧に押し潰されそうになるピーター。彼がミステリオという「頼れる大人」に騙されたのは、心の隙間を埋めたかったからです。
ここからはエンドゲーム後の世界。NWHで起きる「事件」の直接的な原因や、世界観の裏付けとなる作品群です。一つとして見逃せません。
【トラウマ描写】 ミステリオが見せる幻覚の中で、「墓場から這い出てきたゾンビ姿のアイアンマン」に襲われるシーンがあります。 ピーターがどれだけ「トニーを死なせてしまった」という罪悪感に苛まれているか、痛いほど分かる描写です。これを知っていると、NWHで彼が「もう誰も死なせたくない」と必死になる姿がより切なく映ります。
29. ワンダヴィジョン(ドラマ)
愛する人を失った悲しみが生む、現実改変の物語。ピーターの動機とも重なりますし、「マルチバース」という言葉の危険性が初めて語られます。
30. ファルコン&ウィンター・ソルジャー(ドラマ)
キャプテン・アメリカの盾を受け継ぐことの重み。トニーの技術を受け継ぐピーターの苦悩と対になる、もう一つの継承の物語です。
31. ロキ(ドラマ)
【超重要】 なぜNWHで「別次元のヴィラン」が来ることができたのか。その理屈はこのドラマで全て説明されています。多元宇宙(マルチバース)の仕組みを知るための必修科目。
32. ブラック・ウィドウ
ナターシャの知られざる過去。「家族」の物語。
33. シャン・チーテン・リングスの伝説
新たなヒーローの誕生。ウォン(ドクター・ストレンジの相棒)が登場し、彼らが普段何をしているかが垣間見えます。
34. エターナルズ
地球の歴史の裏側。世界は我々が思っている以上に複雑であることを知れます。
35. ヴェノム
スパイダーマンの宿敵……になるはずだった男。スパイダーマンのいない世界で、彼がどう生きているか。
36. ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ
【エンドロール後まで絶対に見ること】 ここが事故現場です。MCUの世界と、ヴェノムの世界が交差する瞬間。これを見ておかないと、NWHの「あるシーン」で置いてけぼりを食らいます。
37. デアデビル(Netflixドラマシリーズ)
【上級者向け・地獄の追加課題】 NWHの序盤、ピーターを救う「盲目の弁護士」マット・マードック。 彼がなぜ「優秀な弁護士だ」と自称し、飛んできたレンガを涼しい顔でキャッチできたのか。その理由は全てこのドラマにあります。
全3シーズン。
映画ではありません。
ドラマです。
長いし、内容は暗くて重いです。
でも、彼もまたニューヨークで孤独に戦う「ヒーロー」であることを知っておくと、彼が登場した瞬間の安心感が段違いです。余裕があればぜひ。
最終章:救済の旅路
38. スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム
ここまで見て、ようやく全てのピースが埋まります。 3人のスパイダーマンが出会う意味。 ヴィランたちが治療される意味。 メイおばさんの言葉。 そして、ドクター・ストレンジがピーターのために下した、最後の決断。
これら全てが、過去30作品以上の文脈の上に成り立っています。 トニーへの愛、ベンおじさんへの誓い、グウェンへの後悔。 それらが一つになり、浄化される瞬間を見届けるために、僕たちはこの長い長い旅をするのです。
(あとマルチバースによる様々な可能性や影響があるのも楽しみ)
リストを書き終えて、改めて思います。 これは「映画鑑賞」ではありません。一つの「人生」を追体験する旅です。
マイボーイよ、準備はいいか。 父ちゃんは、お前がこれらを全て見終えて、NWHのエンドロールで「パパ、全部見てよかったね」と言ってくれるその時を夢見て、ディスクをセットするぞ。
(ほんとはここはこれだからこう みたいな更に細かい小ネタがわんさかあるのがMCUの世界でもある)
それでは、また。
おまけ:アニメーション版
さて、ここまで実写映画の修羅の道を紹介してきましたが、もしマイボーイの体力(と僕の気力)が残っていたら、絶対に外せない「別腹」があります。
アニメーション映画『スパイダーマン:スパイダーバース』シリーズです。
- スパイダーマン:スパイダーバース
- スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース
なぜこれを勧めるのか。理由は2つあります。
1つ目は、「マルチバース(多元宇宙)」の教科書として完璧だからです。 実写版のNWHは、マルチバースの理屈が少し複雑ですが、このアニメ版は「異次元からいろんなスパイダーマンが集まっちゃった!」という状況を、ポップでカラフルな映像で直感的に理解させてくれます。5歳の子供が「マルチバース」を理解するなら、まずはこっちが近道かもしれません。
2つ目は、「誰でもスパイダーマンになれる」というメッセージです。 ピーター・パーカーだけが特別なのではない。運命を受け入れ、立ち上がる勇気があれば、誰だってヒーローになれる。 主人公のマイルス・モラレス(黒いスーツのスパイダーマン)が覚醒するシーンの映像美と音楽は、僕が見てきた全アニメ映画の中で一番かっこいいと断言できます。
NWHとは直接お話は繋がりませんが、世界観は共有しています(アクロス・ザ・スパイダーバースの中で、少しだけNWHの出来事に触れるセリフもあります)。
実写で泣いて、アニメでアガる。 これでスパイダーマン英才教育は「2000%」完了です。









