つい先日、書家の伊藤潤一さんを撮影する機会をいただいた。「家に来て撮らせてください」と、ある場でお願いしたところ、「いいっすよ」と快く承諾してくれた。そして迎えた撮影当日。伊藤さんのご自宅で、彼自身の個性を引き出すような写真を撮ることに挑んだ。
伊藤潤一さんと言えば、どこかアクアマンでおなじみのジェイソン・モモアを彷彿とさせる顔立ち。純日本人ながら、陰影が際立つ彫りの深い表情がとても印象的だ。そのため、今回の撮影ではライティングを駆使して彼の顔立ちや雰囲気を最大限に引き出すことを意識した。陰影を活かした力強いカットから、柔らかさを感じさせる一面まで、さまざまな角度で撮影を試みた。
そして何より、伊藤さんの気さくな人柄に驚いた。こちらの提案や指示を次々に受け入れ、それをさらに面白く、魅力的にこなしてくれる柔軟さ。おかげで撮影は終始和やかな雰囲気の中で進み、楽しさに溢れた時間となった。
今回の写真の中でも特に印象的だったのは、彼の手。筆を握るその手には、長い年月をかけて培われた技術と、その背後にある深い思いが感じられる。今回の写真には顔は載せていないが、その手の写真をここで紹介させてもらう。
伊藤潤一さんについて
伊藤潤一さんは、書家でありアーティスト。三重県を拠点に活動しながら、筆と墨を使った表現で独自の世界観を築いている。2007年に書と出会い、それ以来、店舗看板やパッケージデザイン、個展、ライブパフォーマンス、さらには海外での展示やイベントまで、活動の幅を広げてきた。
その作品は、書の伝統に根ざしつつも、それを超えた自由なスタイルが特徴的だ。特に、書を「祈り」や「心をつなぐツール」として捉えていることが印象深い。寺社仏閣への奉納や、日本文化を海外に発信する活動を通じて、書を通じたコミュニケーションの可能性を追求している。
ミラノ万博やG7伊勢志摩サミット、F1日本GP公式ロゴデザインといった国際的な舞台にも携わる一方で、日々の活動を通じて日本の精神や文化を見つめ直し、それを形にすることを大切にしている。
今回の撮影でも感じたが、彼の手にはただの「書道家」という枠を超えた存在感があった。筆を握るその姿勢や所作からは、何か強いメッセージが伝わってくるようだった。その一瞬を写真に収めることができたのは、とても貴重な経験だった。
SNS Instagram @itojunichi_official